三浦瑠麗『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』文春新書(2021年)を読む。
この前に読んだ山口氏の『リベラルという病』で学んだアメリカの二大政党の予備知識があったため、それが理解を手助けするものになったと感じてる。
本書の中核は「国民の投票行動」に着目している点にある。
人々の価値観を定量的にみるべく、アメリカの研究チームが投票者に質問を設定し、
散布図 ( 象限マトリックスグラフ ) を使い可視化した。
社会的価値観は保守かリベラルか。
経済的価値観は保守かリベラルか。
かくしてイデオロギーは4つに分類される。
1.保守・・・社会的価値観、経済的価値観ともに保守
2.ポピュリスト・・・社会的価値観ー保守、経済的価値観ーリベラル
3.リベラル・・・社会的価値観、経済的価値観ともにリベラル
4.リバタリアン・・・社会的価値観ーリベラル、経済的価値観ー保守
とされる。
まずアメリカにおいては、アメリカ国民の投票行動は支持政党によって点数が極端に分かれる傾向にあった。
日本では、野党立憲民主と与党自民党に関する国民の投票行動調査において、経済成長を重視する人は自民党、そうでない人は立憲民主に傾く確率が見られるものの、大差はないとされ、社会的価値観は相関性が見られないとのこと。三浦氏はそう語る。
それは次の結果で裏付けられた。
「日本価値観調査」がアメリカを参考にして作成した質問項目を、新聞などを通して政治家や有識者にアンケートを行った結果、極端に分かれず、点が概ね真ん中に集中した。
それは、政党ごとにイデオロギーがハッキリしていないことを意味する。
つまり、山口氏の言っていたことと重なる。
日本においては「リベラル」「保守」を厳密に決めるものが存在しない。
それがどういう意味を持つのか。良いことなのか。悪いことなのか。
そこを慎重に見ていきたい。
つづく
公開日2022-01-20