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新・読書日記34

         池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014)

■毎日新聞出版株式会社

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日記

その他数冊読んだ。

ひとつひとつの本については、残りの数時間では書ききれないので、一日一冊というスタンスで今後も続けていこうと思っている。

また、一応「日記」ということなので、本の要約は少しにして、今日考えたことを書き残していきたい。

 

・・・

 

トルストイは「幸せのかたちは皆だいたい同じようなものだが、不幸というものは多様にある」といったことを言っていた。

そんなことはないだろうと自分は思っていた。

散歩をしていると、昔読んだ本の言葉の断片が浮かんでくる。歩くと頭が活発になるのはなぜだろうか。

イマニュエル・カントはいつも沢山歩きながら物を考えていたと聞いている。

 

帰り道、人はなぜ不幸になるのか、ということを漠然と考えた。

結論から書くと、抽象的には「内省が足りない」に落ち着いた。

 

これまで倫理に関する本は、膨大に読んできた自負はある。

学者の間でもいまだに議論は枝分かれしていて、結局のところ答えはない。

つまり、生き方自体には正解はない。これはごく当たり前のことではあるが、これを人は忘れがちである。

 

生き方自体に正解はないのだから、「幸せな生き方が正解」である、という言い方も実は誤りである。

これも人は忘れがちである。

ではなぜ不幸な人は多くいるのだろうか。

こういうことを全部書こうと思えば本が一冊出せるくらい長くなるかもしれないが、そんなことを書く時間もないので断片的にではあるが表現してみたい。

 

二重の誤りというのがあるように自分には思われた。

まず幸せの定義が曖昧であることと、「~べきである」という社会通念を信奉しているのではないか、ということである。

前者と後者は同じようなものである。同じようなものであるが、前者の曖昧性は後者の力を増大させている。

 

ある幸せのかたちがあって、「それを得るべきである」と社会の空気があれば、それが人生の「正解」のように見えてしまう。錯覚である。

もう一度繰り返す。

生き方に客観的な正解がない。

正解がないのであるから、本来、すべての生き方が「それでいい」はずなのである。

 

何度も繰り返す。

生き方に正解がない。どちらかが、どちらよりも優れた生き方が存在しないのである。

自由と倫理を突き詰めて考えれば無駄に思い悩むこともなくなる。

思い悩むことは池田晶子からすれば「思考が足りない」ことの証拠である。

 

どう生きるのが正しい生き方なのか?という問いを突き詰めて分かったのは、正解はないが、それ自体で「善」である生き方、つまり英米の政治哲学上、共同体主義と括られる生き方が最も近い、という考えで今は落ち着いている。

 

もう一段階抽象的なことを考えた記憶があるが、散歩中にメモはとらないスタンスなので、最低限のことしか書けないことに気が付いた。

次はメモをしようと思う。

・・・

『考える日々 全編』

「人を救いたい」という、純粋な善意ですら、マクロとしてみれば社会問題を生む原因となってしまう社会のパラドックスについて池田晶子が語った。

医学やテクノロジーが相互に発展し、寿命が大幅に伸び、救える命が救えるようになった。

素晴らしいことなのであるが、結果的に少数の若者が多数の高齢者を支えなければならないという長期的な問題を生んでしまっている。

 

こういうことを考えればきりがないが、池田晶子はハッキリと物を言う人なので「人間とは身勝手にして愚かなものだ」と語る。

先ほど生き方について触れたが、不幸な人も、間接的には誰かの幸福を生み出しているかもしれない。

パラドックスで溢れている社会では、むしろそのほうが自然で当たり前のことかもしれない。

ニーチェは事実ではなく解釈だけが存在すると言っていたが、本当にそうなのかもしれない。

 

社会から絶賛されている人が実は大きな不幸を生み出していて、社会から隅に追いやられた人たちが実は社会に大きな幸福を生み出しているという逆説。

研究の対象にならないことは世の中に数多くあって、実は隠された事実というもののほうが膨大にあると自分は踏んでいる。

だからこそ生き方に「正解」がないのである。

そうとしか思えない。

つづく

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関連図書

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