■株式会社中央公論新社
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日記
岡本祐一郎『フランス現代思想史:構造主義からデリダ以後へ』中公新書 (2015年) を読む。
個人的に確認しておきたかったことは、何故フランスは実存主義から構造主義へと切り替わったのかということである。
結論としては、今の時点では確認することはできなかったが、レヴィ=ストロースによる実存主義哲学者サルトルへの批判を確認することはできた。
レヴィ=ストロースの仕事は、「未開」といわれる民族の親族関係に数学でいう「群論」の構造を見出したことにある。
本書によれば、レヴィ=ストロースがフランス数学者集団「ブルバキ派」のアンドレ・ヴェイユ (哲学者シモーヌ・ヴェイユの兄) に接触し、数学的に解読してほしいと依頼していたことが分かる。
今日では、一部の人々がポストモダンを「ポモ」と呼び、フランス現代思想は批判の対象となっている。
しかしレヴィ=ストロースの仕事は、部分的には数学を基盤としている。
本書によれば、そのあとの思想家が批判の対象となっており、レヴィ=ストロースは「ポモ」の批判の対象外であると書かれている。
また、レヴィ=ストロースは『野生の思考』においてサルトルを批判する。
レヴィ=ストロースは「未開」という言葉を使わないことにし、代わりに「冷たい社会」と読んだ。また、あらゆる職が分化された先進国の社会を「熱い社会」とした。
サルトルは「冷たい社会」に対して偏見を持っており、彼らの複眼的思考能力を見逃している、といった主旨ある。
実存主義がどのようにして衰退したのかまでは分からなかったが、まずはレヴィ=ストロースによるサルトル批判まで理解することはできた。
つづく
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