■株式会社人文書院
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日記
つづきを読んだ。
今日の朝、若干早めに起きたので、布団のなかでとあるYoutubeチャンネルの過去の配信動画を聞きながら起床時間まで過ごした。
徳島県ではコオロギを粉末にして作ったパンが給食で配食されているのだという。
実際に調べてみたが、本当のようで、徳島大学はベンチャー企業と共同で昆虫食の開発にいそしんでいるとのことであった。
この文章を書きながら、自分は読書が好きだが今は文学よりも社会問題のほうに傾斜しているのだなと思うに至った。
とはいえ文学は社会問題を投影させていたし、親和性はある。旧Twitterの読書アカウント界隈では小説勢(読書の対象が概ね現代の小説、ライトノベルにある人たち)が非常に多い印象を受けるが、自分はちょっと違う立ち位置にいるのでどこか孤独感を感じることもある。
話が逸れてしまった。
その動画配信者の動画は大衆的でありながらもアカデミズムである。(医者であり研究者でもある)
(この表現、マーク・フィッシャー『K-PUNK 夢想のメソッド』の帯のパクリであることは内緒である)
非常に考えさせられる。例えば、論文ベースで日々物事を考える研究者には、現場ベースで起きている例外的な案件を分析することにあまり向いていない。
統計学的な、広い視野で物事を俯瞰してみることも大事ではあるが、解像度には問題があって、どこが問題なのかの場所は特定できるが原因はさっぱり見えない。そんなイメージである。
今、全体的に日本の死者数が増えている傾向にあるのだという。
「高齢者が多いのだから当たり前じゃないか」とも捉えることはできる。
だから安易な判断はできないが、では平均寿命は高止まりしたのだろうか?人生百年時代というは、きれいごとで机上の空論だと言わなければならない。
奇妙な出来事が深いところでリンクしているという考えを自分はどこか頭の片隅においている。
#MeToo以降における、ジェンダー平等の声の高まり、多様性の尊重、昆虫食の拡大、動物倫理学という分野の確立、発展。
バラバラに点が打たれたプロットを、何らかの線で結び、その法則性というものを掴みたい欲求が自分のなかにある。
本書を手に取らせたのも、その欲求ゆえなのかもしれない。
・・・
ピーター・シンガーは、あらゆる社会問題は、どれも大事なのは当たり前だが、それに優先順位を誰がつけることができようかと述べていたが、自分も共感する。
人はひとつか二つくらいの問題にしか真剣にコミットできない。逆に一遍に10個くらいの問題に取り組んでいる人は分散し過ぎて、深い思考は育たない。
となると、結局人は、目の前にある自分の課題に真摯に取り組むしかないと思わざるを得ない。
なんとちっぽけな存在なのか。
と少し絶望しつつも、何かについて考えることは続けたいと思った。
“そのトピックについて徹底的な研究をしたことのない人が、どうしてその問題が人間の苦しみの問題より深刻さが少ないなどと断言できようか?” P280
注意力が散漫になりがちな現代は、徹底的な思考が必要とされている。
ほとんど深堀りしないネット動画や番組は、人々の認知度を高める役割を果たしているとは言えるかもしれないが、どうやって考えればよいかまでは教えてくれない。
自分との内省。内省を深めた人との、深い対話。
深さは現代のテーマと言える。
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