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読書日記539

     樫村愛子『この社会で働くのはなぜ苦しいのか』作品社(2019)

■株式会社作品社

公式HP:https://sakuhinsha.com/

公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/sakuhinsha?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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メモ

精神分析用語

「去勢」・・・全能感の消失。自らの限定性を受け入れること。

フロイト・・・「愛することと仕事をすることは健康と幸せの条件」

夢を持つことと中二病にかかることは、同じ意味で使われることがある

アノミー・・・デュルケームによって用いられた社会学の概念。社会の規範が崩壊したことによる無規則状態のことを指す

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日記

第一章は朝井リョウ『何者』から就職活動における心理状態を社会情勢や精神分析と結びつけて論じられたものとなっている。

丁度少し前に私は『何者』を全部読みきったので、すんなりと頭に入ってくるところがいくつかあった。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/04/18/%e6%9c%9d%e4%ba%95%e3%83%aa%e3%83%a7%e3%82%a6%e3%80%8e%e4%bd%95%e8%80%85%e3%80%8f%e8%aa%ad%e4%ba%86/

  

本書は朝井リョウ氏がエッセイとして書き残した就活の体験を引用しながら分析が進む。

企業がコミュニケーション能力を若者に要求し始めたのは2000代後半の、朝井リョウ氏が実際に就活した時期であることは間違いない。

しかし、なぜコミュニケーション主体の労働環境になっているかという具体的な考察はなされていなかった。

本書の論旨とはずれてしまうが、それはそれで考えてみる価値はありそうだ。

メモに精神分析の用語である「去勢」の意味について書いた。

就活は、往々にして若者に現実の厳しさを知らしめる空間でもある。

就活空間において、学歴差別、コミュニケーション能力重視、自己実現といったテーマが若者に対して否応なしに突きつけられる。

そこにうまく「乗れる」人間は「意識高い系」と言われ嘲笑される。

『何者』では、最後に主人公が嘲笑の的となってしまう皮肉で幕を閉じる。

まだ自分は大人になりきれていないのでは、という未熟感。

数えきれないほど会社から「お祈り」を受ける日々。

そのなかで神経がすり減り「去勢」されてしまう。

しかし、個人的には「視野狭窄」であるように思う。

就職することしか頭にない思考になってしまうのは大学にも責任がある。

大学も実は生存競争に必死だからである。

少子化によって学生が減ってきているのは疑い無い。

全入時代の引き金。

全入時代によって大学で「何をしたのか」やたらに問いたがる企業。

悪者がどこにいるのかハッキリしないところが現代世界の複雑性であるように感じた。

公開日2022-07-26

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