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読書日記751

        トーマス・マン『魔の山(上)』岩波文庫(1988)

■株式会社岩波書店

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日記

執行草舟氏と池田晶子に触発し、『魔の山』を読むことにした。

自身の経験として、古典というものは相性があり、合わなければ読み通すことは難しい。

読まれなければ本棚のはじっこへと追いやられていき、しまいにはもう読まないから売ってしまおうと思ってしまう。

一度手に取った本はその日のうちに読み、少なくとも三日以内には200ページよまなければ次第に関心が薄らいでいく体験は何度もした。

・・・

昨日、念入りに『魔の山』が読めそうかどうか立ち読みしながら考えた。

結論としてはいけると感じた。

というよりも、苦悩の真っ只中にいる自分にとってこの名著のテーマである「苦悩」が醸し出す波長が、立ち読みの際に自身の苦悩と共鳴したように思われたからであった。

・・・

苦悩は狂気であり、狂気もまた苦悩である。

だが、古今東西、人の心を動かす力学の中心は苦悩だということを実感しつつある。

池田晶子は何故『魔の山』を読んだのか分からないが、やはりこの作品だけは違うように思う。

(執行草舟氏いわく、ドストエフスキーは人々へ自殺を誘発した。)

公開日2022/10/18

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