■株式会社ミネルヴァ書房
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つづきをよみおえた。
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感想
後半は宮台真司氏とつながりや、三島由紀夫と天皇論に関する話、そして晩年の小室直樹について書かれていた。
まず端的に本書を読み終えて社会学に対する考え方が大きく変わった。
いや、正確には「社会システム論」という理論に大きな関心を抱いた。
宮台真司氏の理論は小室直樹の精神が受け継がれていることも理解した。
この本を読む前には、個人というミクロのシステムは心理学やその他複数のミクロ的な学問と社会学や歴史のようなマクロ的な学問の弁証法によって解明されていくと考えていた。
個人の集まりである社会が「全体」であるにせよ、その社会的な心理は個人という「部分」の心理に還元されていくことはないように思えた。
しかし、事はそう単純ではないということを再度思い知らされた。
社会という「全体」があるならば、その全体の「外側」についても考えなければならない。
そのひとつとして「天皇」が挙げられる。
戦前、天皇が象徴でなかった時代と戦後「象徴」となった時代の日本人のエトスにはかなりの相違があると思われた。
外側について心理学はおそらくほとんど関与しない。
精神医学や脳科学もおそらくそうだろう。
社会学、いや正確には小室直樹の論理体系はこれら全てを統合的、横断的に分析する壮大な試みであったことが理解できた。
本書は上下で合計1000ページ以上あるが、読み通せば世の中や物事に対する見方が大きく変わるはずである。
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メモ
社会学は100年にわたって「社会の動きは個人の動きの集まりではない」という命題を練りあげた。(518項)
橋爪大三郎
「近代社会が前提としているのは、自分の力で自分の存在意義と人生の価値を見つけることのできる個人の存在です。近代人は、自分で自分の信念体系をつくりあげていかなければならないのですが、自分ひとりでゼロからすべてをつくりあげることはできません。そこで世界に対する独特の解釈を持っていって、どのように日常の行動をすればよいかまで教えてくれる宗教や宗派の門を叩くわけです。(・・・)だいだいそのように宗教が個人化していくということが、近代社会の出発点でした。」
小室直樹
「日本人にとってのマルクス主義が、信念体系ではなくアノミーの逃げ場であるということは、マルクス主義内部の闘争を見ればよくわかります」
ある特定の宗教が無くなってもマルクス主義のような宗教が出来上がる。
しかしアノミーの逃げ場となってしまう限り、次第に運動は収束していく。
オウム真理教もアノミーの逃げ場であったと考えられる。
好景気になる→アノミーに陥る
不景気になる→アノミーがなくなる
宮台真司「小室先生、日本はもうダメですよ」
小室直樹「否。宮台くん、社会が悪くなると人が輝く。心配はいらない」
→宮台真司「崩壊を加速させよ」の伏線(?)
公開日2023/2/15