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その他数冊
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日記
私は宗教というものを10代の頃から最近に至るまで心の底から軽蔑していた。いまも特定の宗教には属していないのであって、あくまで無神論者の立場から感想を書いている。
勿論、今では過去の宗教に対する偏見は取り除けたと自負はしている。
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サルトル「文学は飢えた人間のまえで役に立つのか」について語り合ったあと、彼らは芸術と政治の関わりかたについて語った。
芸術の目的が社会的価値に帰されるようになると創造性が限定され、本当の意味での芸術作品は生まれないだろうと語りながらも、しかし現実的には切り離すことの困難さは否定できないということを語り合う。
その後話は学問の自由へと移行する。
トインビーと池田大作氏は「知識人」について語る。
専門分野の細分化によって、一部の学者が傲慢になり閉鎖的なサークルを作っているとトインビーは指摘する。また、非知識人はそんな知識人たちを無視し、相互に疎外関係が生じ、それは好ましくないと語る。
それに対し池田大作氏は共感を示したうえでその断絶を克服するために「生涯学習」のシステム構築や、奨学金などの普及について語る。
2023年現在の日本を見れば、国立大学の法人化によって、私学を含め大学全般の学費高騰化や「教育格差」という概念、「親ガチャ」といった流行語、教員の過労問題などが端的に示すように、教育をめぐる一連の状況はあまり好ましくないように思われる。
学問の自由についてトインビーは自身の経験を含め、「中道」というものについて池田氏と語り合う。
ここまでの話は全て政治がからんでいる。芸術、文学、教育は政治から完全に切り離されるものではない。
ここでソクラテスが例として提示された。
トインビーは、ソクラテスは普段政治には介入することはなかったが、必要があると判断した場合は躊躇なく意見を述べたのだそうである。
そして、それが原因となって死刑になったとされている。
そこでテーマが「学問と道義」となった。(ノブレス・オブリージュ)
池田氏は、ソクラテスのような悲劇的な死は政治や人間に対して憎悪を与える影響力を持つため感心しないと語り、一方ブッダは政治や経済では解決できないと判断し修行に入ったと述べた。池田氏政治的問題の解決を、ブッダのような高次の次元に求めるほうが望ましいと主張した。
トインビーはその考え方にやや批判的だと感じた。
自身の経験を根拠に、あくまで中庸を主張した。おそらく現実性に欠けるという主旨である。
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一方、執行草舟氏のヒューマニズム批判はまた特殊である。
しかしトインビーと池田氏とは明らかに世代が違う点や、今日の文明をトインビーは見ることができない点を鑑みればそこは致し方がない。
いまトインビーがこの現実を目の当たりにすれば同じことを述べるかもしれない。
執行草舟氏の問題意識は還元不可能の物質(放射線汚染物質、プラスチック、添加物など)が世の中に溢れてしまっていることは物質至上主義にあって、その根底にはヒューマニズムの暴走にあると見ている点である。
世界と平和について真剣に議論され、核戦争はいまのところ回避できている。
しかし別の問題が山積みになっている。それを憂い、批判するのが『脱人間論』の主な内容となっている。
200ページ弱読み進めたが感想は次回以降書いていきたい。
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ジラールは暴力の根源と模倣について語る。
今日もあまり咀嚼しきることができなかった。
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ファインマンは科学と社会のあり方について語った。
ファインマンは社会科学を科学と認めていない点が印象であった。
一方で、科学は倫理を教えてくれないとも語る。
これから生物学の発達とともに社会的な問題が増えると予言していたが見事に当たっていると感じた。
(精子の売買、安楽死の問題のなど)
人間の尊厳というものを今一度考える時期である。
トインビーもその点についていろいろと語っているので、尊厳概念を学ぶ際には参考になる。
ファインマンの本は読みやすく、もう少し読みたいと思った。
公開日2023/2/8