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新・読書日記270(読書日記1610)

   

ジョセフ・ヘンリック『文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』白揚社(2019)

■株式会社白揚社

公式HP:https://www.hakuyo-sha.co.jp/

公式X(旧 Twitter ):https://x.com/hakuyo_sha?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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日記

個人的に思うに、進化とは量的な話で内容がない。

進歩は質的な話で内容がある。池田晶子が便利な消費社会に翻弄される人間を「進歩しない」と書いていたのは、つまり質的にはむしろ低下しているということなのである。

進化とはただ量的に増加していく過程であり、本書の冒頭に書かれているサバイバルのエピソードが象徴しているのは、現代人が量的に飽和しながらも質的には骨粗しょう症みたいに空疎になっていく現実なのである。

付加価値だとか、サービスの質だとか、そういうものは進歩しているではないか、という反論が予想されるが、大量の消費社会(執行草舟氏に言わせるならば無限成長経済のこと)を前提としている限り、その価値はあくまで消費することのなかに還元される。

Youtubeを観ていたら、読書や学問は全く社会には役に立たない、結果が全てだといったショート動画が流れてきた。

その価値が消費社会の価値に還元されるかどうかを問題にしている時点で、それはつまり思考としては量的なことしか考えられない、そういう人間なのだということ、それだけのことである。

生活の様式、形式に読書を合わせるのか。

読書に生活の様式、形式を合わせるのか。

そのあたりを考えてほしい。

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